コラム
2020年までの日本のテレワークの現状と今後
2019年暮れより世界を騒がし、2020年2月からは日本国内にも目に見える打撃を与えはじめた新型コロナウィルス肺炎の影響。
全国の学校が休校となったことが追い打ちとなりテレワークを強いられるビジネスマンが急増した。政府は不要な外出を控えることを要請し、家から働く人が増えたようだ。このあとのテレワーク活用実績は格段に飛躍することは間違いだろう。
今回は、それではこれまではどうだったのかを「テレワークの導入やその効果に関する調査結果」(令和元年版 情報通信白書 第1部)と平成30年通信利用動向調査をもとに振り返りたい。
<この記事のポイント>
1)19.1%の企業がテレワークを導入している
2)労働生産性の向上に加え、「勤務者の移動時間の短縮」「通勤弱者への対応」「優秀な人材の雇用確保」等の割合が近年上昇傾向である主な導入背景
3)今後はテレワークというキーワードに加えて、ワーキングフロムホームが増えていくのではないか
(1)19.1%の企業がテレワークを導入している
2018年調査の結果(図1)によると、19.1%の企業が何らかの形でテレワークを導入していると回答している。調査ではテレワークを3種類に分別しており、①在宅、②サテライトオフィス勤務、③モバイルワークとしている。
規模別でみた企業テレワーク導入率(図2)は規模が大きければ大きいほど高く、2,000人以上規模の企業では46.6%となっている。
ただし、この調査ではテレワークを幅広い定義で捉えており、この19.1%が緊急時にオフィスにいなくとも変りなくビジネスを遂行できるという意味はもたないだろう。
(2)労働生産性の向上に加え、「勤務者の移動時間の短縮」「通勤弱者への対応」「優秀な人材の雇用確保」等の割合が近年上昇傾向である主な導入背景
調査の中でも(図3)、企業のテレワーク導入目的の推移で着目したい点として、2016年調査では「優秀な人材の雇用確保」が5.5%の企業がテレワーク導入の背景にあげたのに対し、2018年調査では3.3倍である18.2%と飛躍しており、テレワークを雇用環境の改善の1要因として重要視されつつあることがうかがえる。
半面、「非常時の事業継続に備えて」という回答は2017年の21.4%から2018年は15.1%まで下がっている。私の考えではあるが、この数値については、2012年以降全国的な緊急を要する災害や事態がなかったことが背景にあるのではないだろうか。
(3)今後はテレワークというキーワードに加えて
「ワーキングフロムホーム」が増えていくのではないか
2020年3月現在、東京都内では公共交通機関、駅などでテレワーク推進のアナウンスが流れている。
テレワークとは一体何なのか。
(1)での定義を適用すると、例えば、既に多くの会社が導入しているスマートフォンから会社の用のメールが確認でき、社内外の人とメールを通じてコミュニケーションがとれるということ。この実例一つをとればテレワークに該当するが、これだけでは家から仕事ができるという意味合いを持つワーキングフロムホームにはあたらない。
職種によっては普段会社のパソコンよりアクセスしているデータベースを使わなければ仕事にならない人や、セキュリティや経験値の面から一切の情報を社外から持ち出せない会社もあるだろう。
この度のような新型ウィルスによる外出制限要請があった場合には、家からでも働けるレベルのテレワークである「ワークフロムホーム」が事業の継続には必須であり、より多くなるだろう。
取り急ぎ、これまではどうだったのかと今後への希望をまとめた。さらなる最新情報、調査が出たらば直ぐにまたシェアしていきたい。