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「日本はもう魅力的な国ではないから、将来性のある母国で就職します」

「日本はもう魅力的な国ではないから、将来性のある母国で就職します」

「日本はもう魅力的な国ではないから、将来性のある母国で就職します」

これは、とあるコンサルティングファームに内定していた外国籍の方が内定辞退の言葉と共に、おっしゃった言葉です。 実はこの数年ほどで、このような事例はかなり増えてきています。私は外国籍採用に携わる機会が、比較的多いと思いますので、今回は「外国籍採用の今」を解説します。 LinkedInユーザーの方々であればよくご存知かと思いますが、外国人労働者の採用件数は増加傾向にあります。コロナによって増加率は微減しましたが、外国人労働者の絶対数は増加し続けています。その一番の理由は、日本が直面している「労働人口の減少 × IT人材の需要拡大」です。この2つの真逆のベクトルは、この先どちらも大きくなる以上、今後も外国籍人材の採用は増え続けるでしょう。 外国籍IT人材の採用の現場で、最も重視されるスキルは「日本語能力」です。例えエンジニアであったとしても、顧客折衝などの日本語でのコミュニケーションは避けては通れず、日本語力が無ければ、やはり現場で活躍するのは難しいという判断が下されがちです。しかし、残念ながら諸外国では、日本語学習者の数は減少傾向にあります。仕事柄、東南アジアに出張することが多いのですが、最近、現地でこんなことを言われました。 「昔の日本には夢があった。でも、今はせっかく日本に行っても将来を見いだせない」 これは言い換えると、わざわざ日本に行かずとも、自身の母国に残った方が良い、あるいは限りある時間とお金を使うのであれば日本以外の国に行った方が良いという意味に捉えられると思います。   もちろん、日本の文化に関心を持っていただき、来日する方も大勢いらっしゃいますので全員がそうであるとは思いません。しかしOECDの調査では、現在の日本の平均賃金は、韓国やイタリアに抜かれ、ポーランドやトルコに迫られています。   また、ビザの取得は、高度な専門知識を持つ人材さえも、審査は圧倒的に長く、複雑で、厳格です。言語の壁、賃金の安さ、ビザの難易度、そして何より独特の商慣習。 これらを考慮に入れると、たしかに日本でのキャリア構築、あるいは出稼ぎ先として日本を選択するのは、もはや合理的ではないのかもしれません。そして、この流れで必ず質問をされるのが、「なぜYosukeは、日本の労働マーケットで仕事をしているんだ?」ということです。冒頭でご紹介した、コンサルを辞退され、母国へ帰国される決断をした方からも、同じ質問を受けました。この質問に対して、私はいつもこう答えています。「合理的に正しい決断が、納得感のある決断であるとは限らない」と。彼らの目には、米国にバックグラウンドを持ち、言語的にも海外で不自由ない私が日本で起業したことは不思議なものと映るのかもしれません。しかし、私は、育ちの国である日本のポテンシャルを信じています。 諸外国に比べ、個々人は圧倒的にポテンシャルが高いにも関わらず、閉鎖的な労働市場によって十分に活かされていないのは言うまでもありません。減りゆく人口の中で、国力、経済力を上げるためには、人材配置の最適化、言い換えれば人材の流動化は絶対必要です。さらには、学び直しや、さらなる成長環境の提供もこれまで以上に必要となってくるでしょう。私はここに大いなる可能性と使命を感じ、日本で事業を立ち上げました。まだまだ日本全体にインパクトは与えているとは言えない規模ですが、それでも少しずつクライアントの経営に、そして個人のキャリアにインパクトを与える仕事ができていることを私自身誇りに思っています。「やっぱり日本は魅力的な国だった」と、また言ってもらえる日は、そんなに遠くないと信じています。この日本の労働市場の難題に、これからも人生を賭けて挑んでいきたいと思っています。