コラム
アクセンチュアが1.9万人を削減!?
週末、米国アクセンチュアで人員削減が行われるニュースが報じられました。このニュースをご覧になった候補者の方から、何件かお問い合わせを頂戴しました。転職を検討されていた方々は、不安なお気持ちになったと思いますので、ここで私見を述べたいと思います。私は、この類のニュースに遭遇した際、複数の記事に目を通した上で、所感とすり合わせるようにしています。今回、私はこの一報を日経電子版で拝見しましたが、その後、ロイター通信、ブルームバーグ、CNNビジネスの同様の記事に目を通しました。私と同様、海外メディアの記事をご覧になった方は、おそらく同様の違和感を持たれたのではないかと思いますが、日経は、やや他社と論調が異なります。海外メディアは、人員削減の「規模」という事実情報こそトップニュースにしながらも、現時点で、投資家はこの人員削減を好意的に受け止め、むしろ株価が上がったことを報じています。また、アクセンチュアの「事業が伸び悩んだ」のではなく、「世界経済の悪化」「インフレ」の影響である旨を色濃く反映させています。一方で日経は「需要の伸び悩みに備えて効率化」という表記をしており、アクセンチュアの業績不振を匂わせるミスリーディングな表記だと感じました。実際に業績予想は下方修正されたとのことですが、わずか1%の下方修正に留まっています。その反面、日本における成長率はアクセンチュアのみならず他ファームにおいても約20%成長とも言われており、コンサルティング業界全般において変わらず成長軌道に乗っているという見え方は十分できるかと思います。人員削減の規模は、1万9000人とのことで、これはアクセンチュアの日本法人とほぼ同規模に当たります。しかし、これらは管理部門や、近年人件費の高騰が著しい中国、インド、フィリピンをはじめとするアウトソーシング拠点でのダブついた人員を対象としているという情報もあり、少なくとも日本での現場への影響は限定的になるのではないでしょうか。日本のDX化については、北米よりも明らかに遅れており、まだまだ需要が大きいということは皆さまもお感じの通りかと思います。コロナ禍も落ち着いて、需要が一巡したということを仰る方もいますが需要は依然と高いです。実際、アクセンチュアの日本法人からは、変わらず採用を加速していく情報も発信されております。まとめると、この本社での人員削減が、日本法人の採用や雇用にすぐに影響するかというと、現段階では、コンサルティング業界全体を含めて直接的な関係はなさそうだというのが私の意見です。ニュースでの情報収集は当然重要ですが、目先の情報に惑わされるのではなく、現場などの情報なども織り込みながら、私自身も広い視野を持って情報発信に努めていきたいと思います。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN23DSJ0T20C23A3000000/