コラム
「履歴書に名前が必要なくなる?!」
「履歴書に名前が必要なくなる?!」最近は、都心や観光地で外国人の方々をお見受けする機会が格段に増えましたよね。そしてコロナ前よりも、彼らの購買力に驚く声を耳にする機会が増えた気がします。これまでは「爆買い」に代表されるように、アジアの富裕層が日本製商品を買い占めるような購買が多かったように思いますが、最近は、高価格帯商品サービスのメイン顧客が、全般的に外国人になってきていると聞きます。円が弱い通貨になってきていることを、世界だけでなく、日本も実感し始めているように感じています。さて、今回は「履歴書」に関する世界におけるトレンドについてです。近年、日本の就職先を探す外国人が、日本の「履歴書」に違和感を抱くケースが増えているという声をよく聞きます。実は、諸外国における面接レジュメには、変化が起きています。日本においては履歴書に、写真、住所、性別、配偶者の有無、前職の収入等の情報を記載することが履歴書のフォーマットにあることからデフォルトの情報として記載されることがほとんどですが、人種や宗教、文化の多様性に富む国であればあるほどこういった個人情報にはとてもセンシティブです。最近の潮流として、なるべくその人に関わるバイアスとなり得る情報を排除した状態で面接に挑もうとする企業が増え始めました。海外企業から端を発し、「diversity」や「inclusion」、「equality」というキーワードもだいぶ知れ渡るようになりましたが、これは企業としてなるべく多様性を受入れ、その人の能力とは直接的に関係ある情報以外は記載しないで良いという価値観が浸透してきたためです。このような流れの中で、企業の中には、選考のガイドラインとして名字(ラストネーム)の掲載を不要、あるいはイニシャル表記を推奨している会社もあります。例えば、私の名前は英語表記ではYosuke Christiansenですので、「Yosuke C.」といった具合にレジュメに記載します。仮に日本でこの私の名字を資料にそのまま記載すれば、純日本人だと思われないのは想像に難くありませんが、何とか「sen」や何とか「son」と語尾のついている名字は、北欧系をルーツに持つ名前が多く、海外では北欧系の人なんだろうと想像できます。最近では、日本でもコンプライアンスへの感度の高い企業は「面接で聞いて聞いてはいけないこと」などを項目化していますが、意外と履歴書の項目はフォーマット通りというケースも少なくありません。念のためですが、私は、日本の形式を批判するつもりはございません。何故なら日本においては履歴書に記載する内容というのは、その会社に就業するにあたり「配慮すべき点」を把握するためという意味合いが強いからです。しかしながら、これは従来の人的資本経営、言い換えれば家族的経営や終身雇用を前提とした雇用形態においてはある程度重要視されていた情報でありましたが、その前提が変化しつつある今日に至っても履歴書のフォーマットに名残として形骸化されてしまっていると言えるのではないでしょうか。そのため、人材獲得競争は国境を超えている現状を鑑みれば、個人情報などについてはよりセンシティブに取り扱うべきであると同時に、なぜこのような情報を聞き出しているのかなどその背景についても説明できるようにしておかなければなりません。日本における採用力をより強固なものにするために、という気持ちも込めて投稿させて頂きました。#diversity #inclusion #equalopportunity